治験・臨床研究について

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治験・臨床研究について

SIGNIFICANCE

治験・臨床研究の意義

医療の進歩・発展のためには、新しい「くすり」が人体にどのような影響を及ぼすかを突き止める「治験」と呼ばれる臨床研究が不可欠です。

HAIC(健康長寿イノベーションセンター)は高齢者医療の発展に寄与するため、アルツハイマー病をはじめとする様々な治験を行っています。

治験とは

医学の分野では、人を対象として行われる研究のことを「臨床研究」と呼びます。臨床研究にはさまざまな種類がありますが、特に「新しいくすりの候補や治療法」について、その有効性や安全性を調べる研究が「治験」です。
治験は「くすり」や「治療法」が国(厚生労働省)の認可を受けるために欠かせません、そして治験を行えるのは、省令(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)に基づく以下の要件を満たした病院だけです。

  • 医療設備が充分に整っていること
  • 責任を持って治験を実施する医師、看護師、薬剤師等がそろっていること
  • 治験の内容を審査する委員会を利用できること
  • 緊急の場合には直ちに必要な治療、処置が行えること

厚生労働省「治験とは」より引用

HAICが行う治験・臨床研究の特徴

現在、HAICでは高齢者医療に関連するさまざまな治験を行っています。なかでもアルツハイマー病やアルツハイマー型認知症に関する治験については、ほぼすべて網羅しています(令和5年2月9日現在)。

HAICが実施している治験

  • アジテーション症状を伴う
    アルツハイマー型認知症
  • 糖尿病黄斑浮腫
  • 重症心不全
  • プレクリニカル期アルツハイマー病(発症前)※AHEAD試験
  • プレクリニカル期アルツハイマー病※AACM試験
  • アルツハイマー病による軽度認知障害
    または軽症認知症※CELIA
  • アルツハイマー型認知症※MK-1942-008

新しいくすりができるまで

「新しいくすり」は、これまでの「くすり」では効き目がなかった病気に対して効果を持ち、しかも、人体への副作用が少ないことを目指して開発されます。「新しいくすり」が一般の医療現場で使われるようになるまでには、次の過程が必要です。

1. 「新しいくすり」の候補選び

多くの化合物の中から、目的の作用を持つ「くすりの候補」を選びます。

2. 基礎研究

「くすりの候補」の効力と毒性について、動物を使って調べます。

3. 治験

人を対象に「くすりの候補」の有効性と安全性を調べます。治験には以下の3つのステップがあります。

  • 第1相試験:
    少数の健康な人を対象とした治験
  • 第2相試験:
    少数の患者様を対象とした治験
  • 第3相試験:
    多数の患者様を対象として治験

4. 厚生労働省の審査

治験のデータをもとに審査が行われ、合格した「くすり」が日常の診療で使われるようになる。

治験を行う施設・ルールについて

治験を行う施設については「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」によって要件が定められています。

第35条(実施医療機関の要件)

実施医療機関は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。

  1. 十分な臨床観察及び試験検査を行う設備及び人員を有していること。
  2. 緊急時に被験者に対して必要な措置を講ずることができること。
  3. 治験責任医師等、薬剤師、看護師その他治験を適正かつ円滑に行うために必要な職員が十分に確保されていること。

治験を行う施設要件

治験を行う施設は、

  • 臨床経験豊富な医師や薬剤師、看護師などのスタッフがそろっている
  • 緊急時に必要な処置がすぐにできる
  • 十分な検査ができる設備がある

などの要件を満たす必要があります。また治験の進行を調整する専門の治験コーディネーターが配置され、その拠点として治験事務局が設置されていることも必要です。
当センターはこれらすべての要件を満たした医療機関です。

治験を行うルールについて

治験は、まだ人体への安全性が確認されていない「くすり」について調べる研究です。治験に参加する人の人権や安全を最大限に守りつつ、「くすり」の効果と安全性を科学的な方法で明らかにするため、治験の実施には「医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP:Good Clinical Practice)」と呼ばれるルールが定められています。
治験を行う医療機関や製薬会社は、GCPに完全に従って治験を行う必要があります。

治験コーディネーターについて

治験コーディネーターとは、治験の当事者(対象となる参加者・治験を担当する医師・看護師や薬剤師、検査技師などの関係者)の中心となり、治験がスムーズに進むように調整する役割を持つ人です。

治験コーディネーターは治験事務局に常駐し、具体的に以下の業務を行います。

  • 医師の説明の補助
  • 検査や診察のスケジュール調整
  • 薬の管理
  • 患者様の疑問・悩みなどの相談に乗る

治験についてのよくある質問

治験にはどうやって参加しますか?

治験ごとに参加要件が決められ、それを満たした方に対して医師から治験の参加をお願いします。ポスターやホームページで公募することもあります。

治験の参加はボランティアですか?

治験の参加に報酬はありません。ただし治験の内容に応じて、交通費などの負担を減らす「負担軽減費」をお支払いします。

治験のスケジュールは決まっていますか?

はい、治験はあらかじめ決められたスケジュールで行います。参加者様は原則として、スケジュールに従っていただく必要があります。

参加した治験は途中で辞められますか?

参加者様本人の意思に基づいて、参加中止を決定していただけます。

治験は安全ですか?

治験は安全性に最大限配慮して行われます。副作用と思われる反応が万一出た場合はただちに治験を中止し、必要な治療を行います。

健康被害が出た場合の補償はありますか?

治験に参加したことで健康被害が発生した場合は、必要に応じて補償させていだきます。

東京都健康長寿医療センター
健康長寿イノベーションセンター(HAIC)
臨床開発ユニット(研究棟3階)

〒173-0015 
東京都板橋区栄町35番2号
地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター

TEL:03-3964-1141 内線2275